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社労士児玉けい子の旅日記 奈良.和歌山
社労士児玉けい子の旅日記|奈良・和歌山で学んだ経営のヒント~鹿に蹴られ、吊り橋で引き返した旅の教訓~
## はじめに
毎日の業務に追われる経営者や人事労務担当者の皆さま、最近リフレッシュできていますか?「忙しくて旅行なんて無理」「休んでいる暇はない」——そんな声が聞こえてきそうです。しかし、実は旅先での体験には、経営や人事の仕事に活かせる気づきがたくさん隠れています。今回は、社労士である私、児玉けい子が奈良・和歌山を巡った旅日記をお届けします。鹿に蹴られた話から吊り橋での夫の決断まで、笑いあり学びありの旅のエピソードを通じて、明日からの仕事に役立つヒントをお伝えします。
## 奈良公園の鹿から学ぶ「期待値のマネジメント」
### 鹿せんべいをあげると丁寧にお辞儀する奈良の鹿
奈良公園といえば、約1,200頭もの野生の鹿が暮らす日本を代表する観光スポットです。今回の旅で最初に訪れたのが、この奈良公園でした。
売店で鹿せんべいを購入し、さっそく鹿たちに近づいてみると、驚いたことに鹿がペコリとお辞儀をするではありませんか。これは「鹿のお辞儀」として有名な行動で、せんべいをもらえることを学習した鹿たちが見せる愛らしい仕草です。
「なんて礼儀正しいんだろう」と感動しながら、せんべいを一枚渡しました。鹿は嬉しそうにムシャムシャと食べています。
### 少しずつあげたら蹴られた衝撃の体験
ここで私は考えました。「一気にあげるのはもったいないから、少しずつあげよう」と。
せんべいを小さく割って、ちびちびと鹿にあげ始めました。すると、最初は大人しくしていた鹿の様子が次第に変わってきたのです。イライラした様子で後ろから頭突き、ついには前足で蹴ってきました。
### 従業員の期待値を裏切ると何が起こるか
この体験、経営者や人事担当者の皆さまには何か思い当たることはありませんか?
せんべいを見せておきながら、小出しにする。これは、従業員に対して「昇給するよ」「ボーナス出すよ」と期待させておきながら、実際には少額だったり、条件をつけたりする行為に似ています。
期待値を上げておいて裏切ると、従業員のモチベーションは下がり、最悪の場合は「蹴られる」——つまり、退職や労働トラブルにつながることもあります。
約束したことは、しっかりと約束通りに実行する。期待値のマネジメントは、人事労務の基本中の基本だと、鹿に蹴られながら改めて実感しました。

## 法隆寺の無料ボランティアガイドに学ぶ「付加価値の重要性」
### 入場料1人2,000円は高い?安い?
奈良公園を後にして向かったのは、世界最古の木造建築として知られる法隆寺です。
入場料は1人2,000円。正直なところ、「少し高めだな」という印象を持ちました。観光地の入場料としては、確かに高額な部類に入ります。
しかし、この法隆寺訪問は、今回の旅で最も満足度の高い体験となりました。その理由は、無料ボランティアガイドの存在です。
### 事前申し込みで無料ガイドが付く驚きのサービス
法隆寺では、事前に申し込めば無料でボランティアガイドの方が案内してくれるサービスがあります。
私たちもこのサービスを利用したのですが、これが本当に素晴らしかったのです。五重塔や金堂、夢殿など、それぞれの重要文化財について、歴史的背景や建築の特徴、隠された逸話まで、丁寧に説明してくださいました。
ガイドなしで見学していたら、「古い建物だな」「立派だな」程度の感想で終わっていたでしょう。しかし、ガイドの方の説明を聞くことで、1,400年以上の時を超えて受け継がれてきた職人の技術や、聖徳太子の想いを感じることができました。
同じ2,000円の入場料でも、満足度がまったく違うのです。
※説明を聞きながら全部見学すると2、3時間はかかります。
### 商品やサービスに「説明」という付加価値を
これは、経営においても重要な教訓です。
同じ商品やサービスでも、きちんと説明することで顧客満足度は大きく変わります。人事労務の場面でいえば、就業規則の説明会を開く、給与明細の項目を丁寧に説明する、福利厚生制度の活用方法を周知するなど、「説明」という付加価値をつけることで、従業員の満足度や会社への信頼度が向上します。
法隆寺を訪れる際は、必ず事前にガイドを申し込んでおくことを強くお勧めします。そして、自社のサービスにも「説明」という付加価値を加えられないか、ぜひ考えてみてください。
## 川湯温泉仙人風呂で感じた「無料でも感動を生む仕掛け」
### 冬の風物詩・川湯温泉仙人風呂とは
和歌山県田辺市本宮町にある川湯温泉は、川底から温泉が湧き出すという珍しい温泉地です。
冬季限定で開放される「仙人風呂」は、大塔川の一部をせき止めて作る巨大な露天風呂。なんと入浴料は無料です。
私が訪れた日は、灯籠でライトアップされており、幻想的な雰囲気に包まれていました。

### 満天の星空の下で至福のひととき
更衣室で水着に着替え、その上にダウンジャケットを羽織って温泉へ向かいます。川辺は冷えるので、この格好がおすすめです。
温泉に浸かりながら見上げると、そこには満天の星空が広がっていました。北斗七星、オリオン座——都会では決して見られない星々が、手を伸ばせば届きそうなほど近くに輝いています。
川のせせらぎを聞きながら、温かいお湯に身を委ね、満天の星を眺める。これぞまさに至福の時間でした。
### 無料でも価値を感じてもらう工夫
ここで経営者として考えたいのは、「無料なのになぜこれほど満足度が高いのか」ということです。
仙人風呂は、ただ温泉を無料開放しているだけではありません。灯籠によるライトアップ、更衣室の整備、川底を掘って適温に調整する作業など、「体験価値」を高める工夫が随所に施されています。
従業員に対する福利厚生も同じです。ただ制度を用意するだけでなく、利用しやすい環境を整え、魅力的に見せる工夫をすることで、同じコストでも満足度は大きく変わります。
## 十津川村の吊り橋で学んだ「引き返す勇気」
### 日本一長い生活用吊り橋の恐怖
十津川村には、「谷瀬の吊り橋」という有名な吊り橋があります。長さ297メートル、高さ54メートルという日本一長い生活用吊り橋です。
実際に渡り始めると、想像以上に揺れます。一歩踏み出すたびに、橋全体がグワングワンと大きく揺れるのです。
橋の入口には「20人以上は危険です」という注意書きがあるのですが、観光シーズンということもあり、次々と人が渡り始めます。明らかに20人以上が橋の上にいる状態になり、揺れはさらに激しくなりました。
正直、生きた心地がしませんでした。
### 夫は途中で引き返した
私の夫は、橋の3分の1ほどまで進んだところで立ち止まりました。そして、「無理だ。引き返す」と宣言し、来た道を戻っていったのです。
「もったいない」という声も聞こえそうですね。しかし、夫は迷うことなく引き返しました。
### 撤退の判断ができる経営者は強い
この夫の行動を見て、私は経営における重要な教訓を感じました。
事業において、「ここまで投資したのだから」「あと少しで成功するかもしれない」と、撤退の判断ができずにズルズルと続けてしまうことがあります。いわゆるサンクコストの罠です。
しかし、危険を感じたら引き返す。この「引き返す潔さ」こそが、経営には時として必要なのです。
人事の場面でも同様です。採用したけれどミスマッチだった人材、導入したけれど効果が出ない制度——「もう少し様子を見よう」と先延ばしにせず、早期に判断することが、結果的には組織を守ることにつながります。
## 白浜崎の湯で体感した「環境を活かす経営」
### 太平洋の波しぶきがかかる絶景温泉
旅の最後に訪れたのは、和歌山県白浜町にある「崎の湯」です。
この日は風が強く、太平洋の荒波が岩場に打ち付けていました。露天風呂に浸かっていると、時折波しぶきが温泉にかかってきます。
普通なら「風が強くて大変だった」となるところですが、この崎の湯では、それが「壮大な体験」に変わるのです。
目の前に広がる太平洋、打ち寄せる波、飛んでくる波しぶき——まるで自然の一部になったような感覚を味わえました。
### 弱みを強みに変える発想
崎の湯は、海のすぐそばという立地を最大限に活かしています。波しぶきがかかることすら、「他では味わえない体験」という価値に変えているのです。
経営においても、自社の弱みを強みに変える発想は重要です。人手が少ない中小企業だからこそ、一人ひとりに多様な経験を積ませられる。歴史が浅い会社だからこそ、古い慣習にとらわれない柔軟な働き方ができる。
環境を嘆くのではなく、環境を活かす。崎の湯から、そんなことを学びました。
## まとめ
今回の奈良・和歌山の旅で得た経営のヒントをまとめます。
**奈良公園の鹿から学んだこと**
期待値を上げておいて裏切ると「蹴られる」。従業員への約束は必ず守り、期待値のマネジメントを大切にしましょう。
**法隆寺から学んだこと**
同じ商品・サービスでも、「説明」という付加価値をつけることで満足度は大きく変わります。無料ガイドの事前申し込みは必須です。
**川湯温泉仙人風呂から学んだこと**
無料でも感動を生む仕掛けは作れます。福利厚生も、見せ方・使いやすさの工夫で価値が変わります。
**十津川村の吊り橋から学んだこと**
危険を感じたら引き返す勇気も経営には必要です。サンクコストの罠にはまらないようにしましょう。
**白浜崎の湯から学んだこと**
弱みを強みに変える発想で、環境を活かした経営を目指しましょう。
忙しい毎日を送る経営者・人事担当者の皆さま、たまには旅に出てみませんか?きっと、思わぬところに経営のヒントが転がっているはずです。
社労士 児玉けい子でした。次回の旅日記もお楽しみに。

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